感染症トピックス | 研究会目次 |
島根県のトリと花の展示施設におけるオウム病の集団発生について | ||||
今年1月、島根県内のトリと花の展示施設(松江フォーゲルパーク)で、オウム病の集団感染が発生しました。オウム病は感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)で4類感染症に指定されており、毎年20〜30名の患者発生届出が報告されています。 | ||||
これまでに展示動物を原因にオウム病が集団発生した事例は知られておらず、感染が起きた展示施設は半年に30万人の来園がある、トリのふれあいをうたった新設施設であったことから、来園者に不安をまねき、ニュースとして報道されました。 | ||||
本稿では、これまでの発生状況(平成14年2月6日現在)と、自治体及び厚生労働省の対応をご紹介します。情報は厚生労働省結核感染症課獣医衛生係に提供いただいています。同係では、国立感染症研究所のウイルス第一部リケッチア・クラミジア室と協力して、対応を進めているところとのことです。 | ||||
1 発生状況 | ||||
(1) | 発生場所:松江フォーゲルパーク(トリと花の展示施設。昨年7月開園し、約30万人が来園) | |||
(2) | 患者数:10名(うち従業員4名、来園者6名) | |||
(3) | 経過 | |||
1. | 12月31日、従業員1名の発生届出(松江保健所に報告)。 施設は感染源と疑われたトリ4羽を隔離。 保健所は従業員の健康管理等を指導。 |
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2. | 1月7日〜1月12日、新たに3名の従業員と1名の来園者の発生届出。 | |||
3. | 1月14日(月)、施設の一部を自主閉鎖。 | |||
4. | 1月15日、島根県健康福祉部がオウム病集団発生として公表。 | |||
5. | 1月16日、松江市が「松江フォーゲルパーク対策本部」設置し、園内のトリの施設を閉鎖。 | |||
6. | 1月26日、「松江フォーゲルパークオウム病調査委員会」設置。 | |||
7. | 1月29日、施設の一時全面閉鎖を決定。これまでの患者数10名。 | |||
※ 関連情報はニュースサイト等で入手可能 | ||||
(http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/local/matsue_vogel_park/) | ||||
(http://www.web-sanin.co.jp/matsue/vogel/info2.htm) | ||||
2 現地(松江市と島根県)のこれまでの対応 | ||||
(1) | 従業員と来園者の健康管理(聞き取り、症状を呈した者の検査)実施。 | |||
(2) | トリと施設の衛生状態の調査実施。 | |||
(3) | 原因究明と再発防止のため「調査委員会」を設置。 | |||
※ 関連情報はニュースサイト等で入手可能 | ||||
(http://www.web-sanin.co.jp/matsue/vogel/info2.htm) | ||||
3 厚生労働省のこれまでの対応 | ||||
(1) | 健康局結核感染症課長より以下を通知。(下線部のクリックにて文書の閲覧可能) | |||
1. | 「小鳥のオウム病対策の徹底について」(都道府県政令市等の自治体宛) | |||
2. | 「島根県におけるオウム病集団発生に関連する鳥類対策の徹底について」 (松江フォーゲルパークと同じ他県施設より動物を仕入れた施設の所在する関係10自治体宛) |
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3. | 「小鳥のオウム病対策について(依頼)」((社)日本動物園水族館協会宛)) | |||
(2) | 「小鳥のオウム病の検査方法とガイドライン(暫定版)」を新たに作成し、事務連絡で自治体等に配布済み。今後、更なる知見を得て正規のガイドラインを作成予定。 | |||
(3) | なお、現在、厚生科学研究「動物由来感染症サーベイランス方法の検討」(山田班長:国立感染症研究所獣医科学部長)で、展示動物を対象とした動物由来感染症対策ガイドラインを作成中(岡部グループ長:同研究所感染症情報センター長)。 | |||
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