第4回 人と動物の共通感染症研究会学術集会 研究会目次


[教育講演] 動物愛護センターの共通感染症に関する取り組み
 
  丑山 隆雄
長野県動物愛護センター所長
 
  現在、世界では従来知られていないたくさんの感染症が次々に見つかっています。そしてその多くが動物由来であることも分かってきました。
  動物由来感染症や今後新たに出現する可能性のある動物由来感染症に対して対応するためには、法の整備が求められる一方、想定されるさまざまな事態に対して効果的な疫学調査や予防対策を構築して、法の整備を待たずに公衆衛生対策と動物衛生対策が同時に果たされる総合的な協力関係を強化することが求められています。
 
国の対策
  我が国の感染症対策は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に基づき、国・地方自治体等関係機関が連携して、ふだんから感染症の発生・まん延を防止するための施策を講ずることとされている。感染症法に基づく感染症の発生の状況、動向及び原因の調査の迅速かつ的確な実施を確保するために、縦割りの行政組織を超えた連携の緊密化が求められています。
 
全国動物管理関係事業所協議会の紹介
  全国動物管理関係事業所協議会は、狂犬病予防及び動物由来感染症の予防並びに動物の愛護管理行政に関し、情報の交換及び調査研究を行い行政の円滑な運営と発展のために作られた組織で、現在動物管理関係事業所又は動物管理関係担当部局の100機関が加盟しています。協議会では感染症の防止や発生に対応するため、感染症情報の交換・周知徹底などの活動を行ない、関係機関の協力を得ながら衛生対策を着実に行うことが責務と考えています。
 
長野県動物愛護センター(愛称:ハローアニマル)の紹介
  ハローアニマルは、動物愛護の意識の高揚と動物の適正な飼養管理に関する知識の普及啓発を図るため、動物愛護事業の拠点施設として開設しました。身近な動物について正しい知識を持ち、動物とのふれあいを通じて命の大切さ、相手を思いやる気持ちを育むため、パネルや実際の動物を使って、対象年齢に応じた内容で実施しますので楽しんで学んでいただけます。ハローアニマルでは、動物介在活動を通じて人と動物の共通感染症についての理解を深めるとともに、地域における動物由来感染症の情報発信の拠点としての役割を果たすべく努めていますのでその概要について紹介します。
 おわりに、人間は多くの生物と共生している事実を忘れないで、幅広い視野に立って感染症の対策をたてていく必要があると考えています。
 
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