第8回 人と動物の共通感染症研究会学術集会 研究会目次

8 動物病院勤務者の人獣共通感染症にかかわる健康調査
 
○内田 幸憲1)、鎌倉 和政1)、後藤 郁夫1)、杉本 昌生1)、福士 秀人2)
丸山 総一3)、岸本 壽男4)、今岡 浩一5)、吉川 泰弘6)
1)神戸検疫所、2)岐阜大学応用生物科学部、3)日本大学生物資源科学部、
4)国立感染症研究所ウイルス1部、5)国立感染症研究所獣医科学部、6)東京大学大学院農学生命科学・実験動物学
 
【目的】
  国内におけるペットブームは今も続いており、ペットは伴侶動物として人の生活に深く関わるようになってきている。このような状況下、人とペット動物の間の感染症伝播の実態は明確ではないのが現状である。今回は、人獣共通感染症に対してハイリスクグループと考えられる動物病院勤務者における感染状況を明らかにし、問題点を整理することを目的として健康調査を行なった。
 
【対象と方法】
  北九州市、神戸市、埼玉県西支部それぞれの獣医師会の了承のもと動物病院勤務者から7〜8mlの血液提供、アンケートへの回答及び同意書の提出を受けた。本調査は東大農学生命科学部の倫理委員会の承認のもとに実施された。アンケートは年齢、性別、職種、勤務年数、取扱い動物、感染予防対策、動物咬傷の有無や健康管理等11項目25質問に回答(自由記載含む)をしてもらい、集計・解析を行なった。血清抗体価の測定はネコひっかき病、トキソプラスマ症、オウム病、ブルセラ症、Q熱、腎症候性出血熱、レプトスピラ症、リンパ球性脈絡髄膜炎の8項目につき型どうり測定を行なった。 
 
【結果及びまとめ】
  動物病院勤務者323名(男性114名/女性209名、平均年齢:42.1±12.0/30.0±9.2)から協力が得られた。血清抗体陽性率はネコひっかき病36名(11.1%)、トキソプラスマ症14名(4.3%)、オウム病13名(4.0%)、ブルセラ症4名(1.2%)、Q熱2名(0.7%)であり、腎症候性出血熱、レプトスピラ症、リンパ球性脈絡髄膜炎は全員陰性であった。いずれかの抗体が陽性であった者は65名(20.1%)で5人に1人は何らかの感染被爆を受けていた。また2項が陽性であった者は4名(1.2%)、3項以上が陽性であった者はいなかった。これらの抗体検査の状況とアンケート項目につき統計解析を行なって報告する。
 
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