第5回 人と動物の共通感染症研究会学術集会 研究会目次


6 ヒトおよび鳥類より分離されたChlamydophila psittaci 株の特性
 
○Rajesh Chahota 1),小川寛人 1),大屋賢司 2),松本 明 3),山口剛士 1),2),福士秀人 1),2)
1)岐阜大学大学院連合獣医学研究科
2)岐阜大学応用生物科獣医学科微生物
3)岡山大学大学院泌尿器病態学
 
  Chlamydophila psittaci は鳥類、ヒトを始めとした様々な動物に感染し、人獣共通感染症であるヒトのオウム病の原因となる。我が国においても様々なC. psittaci株が鳥類に蔓延していることが知られている。本研究では、過去60年間に我が国および諸外国において、オウム病患者もしくは鳥類から分離されたクラミジア10株(C. trachomatisC. pneumoniae は除く)の主要外膜蛋白質をコードするompA遺伝子全長とプロモーターを含む領域の塩基配列を解読し、既報の各種クラミジアを含め、塩基配列および推定アミノ酸配列と既知の血清型および遺伝子型との相関を検討した。その結果、10株のうち5株(Izawa、Itoh、N1、Nose、CP0315株)のompA領域は同様のallele型を示し、C. psittaci 血清型/遺伝子型Aの株と塩基配列およびアミノ酸配列で99.9%の相同性を示した。鳥類との接触歴のない2例の肺炎患者より分類されたKKCP1およびKKCP2株は同様のallele型を示し、これらは血清型/遺伝子型BおよびEと99.5%の相同生を示した。鼠径リンパ腫を呈した患者より分離された30A株は血清型/遺伝子型Eと、1944年米国でオウム病の流行が起こった際に分離されたBorg株は血清型/遺伝子型Dとそれぞれ100%の相同性を示した。ヒトのクラミジア症の流行が認められた鳥類展示施設のオウム類より分離された株は新規のC. psittaci 株であることが明らかになった。ompA上流のプロモーター領域は全ての株において遺伝子レベルで保存されていた。本研究により、鳥類に高度に蔓延している血清型/遺伝子型Aはオウム病の原因となることが示唆された。また、他の型のC. psittaci は自由生活を営む鳥類から偶発的にヒトへ感染し、非定型肺炎の原因となっている可能性が示唆され、非定型肺炎患者においてはC. psittaci を鑑別対象とする必要性が明らかとなった。今後は、新しく同定されたC. psittaci 株の再分類とC. psittaci の哺乳動物に対する病原性について検討する予定である。
 
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