第3回 人と動物の共通感染症研究会学術集会 研究会目次


4 鶏卵および卵製品におけるCoxiella burnetii の疫学調査
 
 小宮智義 1)、齋藤純子 1)、荒井節夫 1)、西村昌晃 2)、村松昌武 2)、安藤匡子 3)、高原 悠 3)、山口剛士 3)、福士秀人 3)、平井克哉 3)
1)北里研究所・生物製剤研究所、2)畜産生物科学安全研究所、3)岐阜大学
 
【はじめに】
  Q熱の起因菌である Coxiella burnetii の宿主域は、ヒトをはじめ家畜、愛玩動物、野生動物、鳥類など多岐にわたっている。ヒトは、主に病・保菌家畜の排泄物の乾燥粉塵から吸入によって感染し、生乳や乳製品から感染する可能性も示唆されている。一方、鳥類からヒトへの感染は不明であるが、鶏へ実験感染させると、本菌は卵へ移行することが 1950年代に報告されている。しかし、市販の食卵および卵製品における本菌の汚染状況は、内外を含め、明らかにされていない。そこで今回我々は、食卵および卵製品について、C. burnetii の疫学調査を実施したので報告する。
 
【材料と方法】
  採卵鶏および肉養鶏血清は 6養鶏場の 98血清、食用生卵は 21養鶏場から 1,610個および卵製品 61検体について、それぞれの材料調整後、市販キットを用いてDNAを抽出し、C.burnetii com 1 遺伝子をターゲットとした Nested PCR 法を実施し、遺伝子検出を試みた。PCR陽性の検体は、マウスまたは発育鶏卵を用いて菌分離を試みた。
 
【結果および考察】
  C.burnetii の特異的遺伝子は、鶏血清 98検体、食用生卵 1,610 個および卵製品 61検体から検出されなかった。また、鶏卵からの任意抽出の検体を用い、菌分離を試みたが全て陰性であった。 以上の結果から、食卵および卵製品における本菌の汚染は、極めて低いと推察される。なお、食卵、卵製品および採卵鶏についても検体数を増やし調査を行っている。さらに、本菌の分離も継続中のため、併せて報告する予定である。
 
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